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学校のネットワーク環境 前編

学校のネットワーク環境について前編後編の二回に分けて紹介します。前編では,一般的なインターネット環境について,後編には学校でのネットワークについて扱います。

インターネットとは

インターネットは,小さなネットワーク同士が世界中でつながれたネットワークを意味します。自宅や学校から,世界中のWebページを閲覧したり,世界中の人に電子メールを送ったりできるのは,インターネットに接続されているからです。

学校の中や家の中など限定的なネットワークをLANラン(ローカルエリアネットワーク)といいます。それらのLANがより広範囲にまたがるネットワークをWANワン(ワイドエリアネットワーク,または広域ネットワーク)と言います。インターネットは,多くのLANが世界規模で接続されたWANです。

私たちが普段,スマートフォンやパソコンから使用する,Webページや,電子メールなどもインターネットを介しています。 

インターネットを利用するには,物理的な回線とサービスを提供するプロバイダとの契約が必要です。

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プロバイダとは

パソコンやスマートフォンでインターネットを利用するには,ネットワークに接続されている必要があります。このネットワークの接続には,回線と同時に,ISP(インターネットサービスプロバイダ)と契約する必要があります。ISPは一般的にプロバイダと呼ばれています。プロバイダは,インターネット接続の仲介の役割をしてくれます。

具体的には,IPアドレスの提供,メールのサービスなどの提供してくれます。

 

インターネット回線の種類と特徴

インターネットに情報を送信することを上り,受信することを下りといいます。インターネット回線の速度はbps(ビット毎秒)という単位であらわされます。一秒間に何ビット伝送できるかを示しており,値が高いほどインターネット回線の通信速度が速いことを示しています。

インターネット回線にはいろんな種類がありますが,そこを流れる信号は回線の種類によって周波数などの特性が異なり,そのままでは端末で利用することができないので,モデムという装置を使って変換します。モデムはインターネット回線の種類によって仕様がことなるため,プロバイダからレンタルするなどして,専用のものを利用する必要があります。

インターネット回線の種類には,下記のようなものがあります。

 

電話(アナログ)回線

昔からの電話回線を利用した接続。電話が使われるようになった古くからの回線で,300~3400Hz のアナログ信号波形を伝送する。固定電話による音声通話のほかに,FAXなどデジタル信号のデータ通信にも広く用いられる。

家庭でもインターネットが使われるようになった初期は,これが使われていた。インターネット専用の回線が普及し,現在ではほとんど使われない。

電話回線での通信料は,電話料金(使った時間と距離による)がかかる。

 ISDN回線

ISDNとはIntegrated Services Digital Networkの略。

回線や交換機など,すべてがディジタル化された電話網である。
伝送できるデータの量に余裕があるので,1本の回線を通話用とデータ通信用にわけて使うこともできた。

電話回線を分岐しているため,通話と同時に,データのやり取りが可能。

ISDN回線の通信料は,ISDNの使用料に加えて電話料金がかかる。

ただし,ISDNは2020年頃に廃止予定である。

ADSL回線

 ADSLとはAsymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)の略。回線の速度が上りと下りで異なることが特徴。

ADSLは,電話回線の中で,音声通話では使われていない高い周波数を使って棲み分けしている。また,ADSL回線の場合,基地局との距離が通信速度に比例し,近いほど早く,遠いほど遅くなる。

ADSL回線の通信料は,ADSLの使用料に加えて電話回線の基本料がかかる。

光回線

光ファイバーを使った回線のこと。電気信号を光信号に変換し,光ファイバーケーブルで伝送する技術を利用した回線のこと。

インターネットに接続するデータ通信専用のため,他の通信の影響も受けにくく,安定した回線速度が得られるのが特徴。ただし光回線の整備が必要。

光回線の通信料は,通信速度や通信の量によって各社が決めている。

CATV回線

ケーブルテレビ局が提供するインターネット回線のこと。専用のケーブルで番組を送っている各地域のケーブルテレビ局が,そのケーブル網を利用して提供するインターネット接続サービス。

ケーブルテレビ局がインターネット接続サービスを提供するようになった背景に,光回線の登場がある。光回線が提供されはじめたころ,光回線がまだ引かれていない地域でも高速なインターネット接続環境を提供するために,ケーブルテレビ局の回線を利用することが考えられた。

CATV回線では,ケーブルテレビ局がプロバイダを兼ねていて,別途,プロバイダと契約をする必要がないことが多い。

 

有線LANと無線LAN

LANは,限られた範囲で相互にデータ通信できるネットワークのことです。

LANは,まず,モデムに接続されます。モデムは,受信,送信する信号を変換する機能を持ちます。モデムには,インターネットの住所であるグローバルIPアドレスが割り振られています。次に,モデムからルーターに接続します。ルーターはグローバルIPアドレスを複数の機器で共有するために,プライベートIPアドレスに変換します。ルーターからさらに複数機器に分配するには,ハブを使用します。機器によっては,モデムがルーターの機能を備えていたり,ルーターがハブの機能を備えていたりします。

 

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有線LANと無線LANのイメージ

有線LANとは,パソコンとモデムから引かれてきた線を専用のケーブル線を用いて接続することであり,無線LANとは,専用のルーターを用いて,ケーブル線ではなく,電波を使って接続することです。

有線LANの場合,LANケーブルで接続するのが一般的です。LANケーブルはカテゴリー(CAT)という規格により通信速度が異なります。

無線LANの通信方式としては「Wi-Fi(ワイファイ)」が一般的です。無線LANはWi-Fiルーターを介して利用しますが,対応しているWi-Fi規格とルーターの性能で速さの上限が異なります。

インターネット回線の速度は速くても,ルーターとの接続方法をきちんと確認していないと,その速度を最大限に利用できない場合があります。

 

学校のインターネット回線

インターネットを利用したサービスの増加やそれに伴うパソコンの普及により,インターネットを利用する機会が増えています。学校でのLANの整備がスタートした当時は,電話回線を利用したインターネット接続が主流でしたが,2010年頃からは,光回線を利用したインターネット接続が主流となりました。