-Googleフォームを使用した 単元テスト・ふりかえり・まとめの実践-
埼玉県立三郷北高等学校 石井 政人 先生
学年 | 高校1年高校2年高校3年 |
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教科 | 英語数学国語理科地歴公民保体家庭情報 |
科目 | 社会と情報 |
単元 | 「情報のディジタル化」 |
実践報告のねらい
近年では対話的な学びを重視する傾向が強く,アクティブラーニング型の授業の実践が増えてきている。アクティブラーニング型授業では,グループワークの時間を長くとるため,知識・理解のための座学を授業の前に反転授業として学習するスタイルも出てきている。そこで,アクティブラーニング型の授業で必須であるリフレクションについてもなるべく短縮や省力化が行えないかということで,「小テスト」「ふりかえり」「まとめ」といった授業の終わりでおこなう内容を簡単に実施する方法についてまとめた。
※リフレクションとは、学んだことをふりかえり、次の学習につなげていくこと。
アクティブラーニングの利点
- 話し合うことで主体的に学べる!
- 生徒が教えることで理解が深まる!
- 生徒に教えてもらうことで対話的に様々な視点から学べる
アクティブラーニングの欠点?
- 1コマの授業の中で「説明」「学びあい」「共有」「リフレクション」とやることが多い
- これらの一部を簡略化したり時間外に出したりできないものか・・・?→これを踏まえて実践
事前準備と必要なもの
Google フォームが使用できる環境(インターネットへの接続ができれば,端末を問わず可能)。本実践ではコンピュータ教室のパソコンを使用した。
教員による事前準備のフォームの作成・生徒による解答は,どちらもパソコンだけではなく,スマートフォンやタブレット端末で可能!事前の準備は以下の通り。
- Googleフォームを作る…小テスト形式やアンケート形式などが可能。「選択式問題」「記述式問題」での解答どちらにも対応できる。
- Googleフォームの解答手段を生徒に示す…そのURLのQRコードを作成し,授業のプリントの最後に載せ,宿題とすることや,その場でパソコンやスマートフォン,タブレット端末で解答させる方法どちらでも可。本実践では情報科の授業なのでその場で,パソコンから解答をさせた。
解答時にメールアドレスを入力させて誰が解答したかを区別することも可能だが,その場合は,事前に生徒のメールアドレスを準備が必要である。
QRコードを利用して生徒に配布する場合はQRコードの作成ソフトが必要だが,QRコードの作成について,ここでは割愛する。
単元計画
単元計画(全4時間)情報のディジタル化 |
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第1時 |
基数表現について 座学 |
第2時 |
2進法・16進法について計算演習(本時) |
第3時 |
文字や音のディジタル化 座学・実習 |
第4時 |
画像のディジタル化・圧縮・展開 座学・実習 |
本時のねらいと実際の授業
本時のねらい |
基数表現の中でも2進法・16進法の計算方法を通し,コンピュータでの情報処理の方法が2進法であることを理解し,2進法・16進法と10進法を相互に変換し使いこなせるようになる。 |
授業の実際 |
基数表現の単元は理解の早い生徒にはすぐ理解し,使いこなせるようになるが,苦手な生徒も多い。そこで,全員が最低限クリアしてほしいレベルについて単元テストの形式にすることによりどの程度の割合の生徒が理解できたかということの確認をすることができる。 Googleフォームを利用しての単元テストを行うことにより,授業内で単元テストを行うことや宿題として生徒がやってくるようにすることもできる。 |
本時の展開と実践内容
学習の流れ |
主な学習活動 |
評価項目 |
導入 |
前時のおさらい,基数についての復習 |
前時のプリントでの学習状況により知識の確認 |
展開 |
2進法・16進法の計算手順についてグループ毎に相互学習を行う。 授業プリントの計算問題に取り組む |
相互学習の取り組み状況により表現力・判断力の確認 |
まとめ(ふりかえり) |
Googleフォームを利用した単元テストの実施(アクセス~テストの実施まで3分) |
個人のテストの結果による 知識・技能の確認 |
結果と反応
10進法の値を2進法にする問題と,2進法の値を10進法にする簡単な計算問題の正答率は80~90%となったが,16進法の計算問題については20~30%の正答率となったため,指導方法の工夫が必要だと感じた。このように問題ごとの正答率や解答内容をグラフやデータとして出力することができるので,理解度の分析に生かすことができる。
※上記の解答は実践報告用に再度入力したもので実際の生徒さんのものではありません。
生徒は初めて使用したときでも使い方がわからないといった意見が出ることはなく,生徒自身の力で解答することができた。
また,小テストを行う場合,①問題を配布する,②生徒が解答する,③採点する,④回収する,⑤返却する。という作業が必要になるが,Googleフォームを利用することにより,①URLにアクセスする,②生徒が解答するというプロセスをするだけで後は,即時採点され,即時結果を見ることができ,2~3分程度の時間短縮が見込める。
従来の場合 | Googleフォームの場合 | |
問題を配布 | URLにアクセス | |
生徒の解答 | 生徒の解答 | |
回収 | 即時採点,即時分析データ化 | |
採点 | ||
返却 |
今後の課題と次の目標
小テストを学期に何度も実施した場合,評価を一目でわかるようにまとめるための表計算ソフトウェアのシートなどをGoogleフォームでの出力形式に近づけることで,成績管理の単純化が図れると思う。
また,授業前や授業後の宿題としてGoogleフォームを使っての小テストを課す授業形式に移っていくことで,毎時間まとめに使う3~5分程度の授業時間内での知識理解の確認が不要になるので,様々な活動に時間を充てることができる。