埼玉県立越谷西高等学校
埼玉県立越谷西高等学校は、男女共学の全日制普通科公立高校である。
「部活動で成長し、進学に挑戦する越西生」の育成を目指しており、勉学のみならず、陸上部のインターハイ出場や新聞・放送部の全国大会での入賞など、文武両道の実践に全力で取り組んでいる。
今回は、物理ご担当の中谷勇志朗教諭に、リブリー導入の経緯や活用方法についてお話を伺った。
使い慣れているスマホでの導入を決めた
リブリー導入の決め手は何だったのだろうか。 「生徒の入学時より、進路指導部の方針の下、学習支援教材である動画配信サービスに全員が加入していたことから、少なくともスマホを持っている状況は確認できていました。スマホさえあれば、リブリーを導入できるだろうと思いました。」
この学校では、以前から学習動画配信サービスや、ポートフォリオの入力などでスマホを活用しており、生徒は扱いに慣れていたという。 それがきっかけとなり、スマホでも戸惑うことなくリブリーが使えるだろうということで、導入を決めた。
また、実際に中谷教諭がリブリーを使ってみて、これなら紙の書籍と比べても遜色なく使えるなという実感を得たことに加え、ひとまず導入しようと思っていた人数が40名弱だったこともあり、導入のハードルは低いな、とも考えていたそうだ。
物理と化学では紙の「セミナーシリーズ」とリブリー版を併せて活用している一方、生物ではリブリー版のみを使用している。 どういう理由から、紙の書籍とリブリー版の購入を使い分けたのだろうか。
「物理では、図に書き込むことが重要な単元が多くあります。リブリーにも書き込み機能はありますが、スマホで使うには少し難しいという生徒からの声もあり、紙の書籍ありでの購入にしました。 一方で本校の場合、1年生全員が生物基礎を学びますが、生物選択者が生物を学ぶのは2年後になります。 紙の書籍をなくしてしまう生徒や、取っておく必要がない生徒もいるので、生物では紙の書籍なしでの購入に決めました。」
科目の特性に応じて、紙の書籍も使いながら、オプション的な扱いでリブリーを導入するかどうかを判断しているようだ。
休校中でも、リブリーを活用して生徒の状況を確認
新型コロナウイルスの影響で、急遽3月から5月まで休校になったが、中谷教諭はお試しID(先生向けリブリーアプリの試用)を昨年度1月に申し込んでいたため、休校になってからすぐにリブリーを試してみることができたという。
「生徒には、3月の登校日に急いでアカウント情報と導入方法のチラシを配付して対応しました。分からないという生徒も数名いましたが、次の登校日に対応できたので、特に大きな混乱はありませんでした。」と中谷教諭は語る。
休校中は、リブリーと他のサービスを併せて活用していたそうだ。
「休校中は、動画配信サービスを活用し、リブリーではそれにリンクしたセミナーの問題演習をさせていました。本来の中間考査の範囲を課題として配信したので、生徒が提出したノート写真を自宅や職員室から確認できました。質問がある生徒には、GoogleのmailやMeetを使って対応していました。」
「やりにくかったのは、まだほとんど顔を合わせたことがない生徒もいる状況で、やり取りをスタートしなければならなかったことです。」と中谷教諭は語る。そのような状況下でも、G Suiteの各種機能を使って、こまめにフォローしながら指導をされていたそうだ。
先生用の管理ツール「Libry for Teacher」では、生徒の進捗状況がリアルタイムで確認できる。中には課題に手をつけられていない生徒がいることも分かり、対面の授業が始まる前に生徒のキャラクターを知ることができるなど、思わぬ効果もあったようだ。
リブリーを使って見えてきた、業務と学習スタイルの変化
6月からは、分散登校を経て通常授業に戻っていった。授業ではリブリーをどう使っているのだろうか。
「以前から、授業でスマホを活用していました。時間ができた時に、リブリーで問題演習をするといった形で使用しています。」授業中にノート写真を提出させるのではなく、ある程度生徒の自主性に任せ、「ここを課題として出すから、解いてリブリーに貯めておくように!」といった指示をしているそうだ。
リブリーを導入する以前と比べて、業務で変化した点を伺った。
「ノート提出を課す週末課題も出してはいましたが、問題ごとの細かいチェックまでは手が回っていませんでした。リブリーを使うことで、全てをチェックするのではなく、正誤情報をもとに該当するノート写真を見ながらアプローチできるようになりました。 一括でノートを集めてチェックするのではなく、ちまちまと確認できるのが便利ですね。正答率の低い問題が分かるので、授業でこういう風に教えたほうがいいのかなというのを、リアルタイムで確認できます。」
また、生徒の学習への取り組みスタイルにも少し変化が出てきたそうだ。
「問題を解くタイミングやスペースを気にしなくなったのかもしれません。解きたいときに解けば、履歴が残りますからね。 昨年までは、問題演習用のノートを準備する必要がありましたが、今は写真を提出すればよいので、授業の板書ノートに問題を解いて提出する生徒もでてきました。」
リブリーを導入したことで、時間や場所に縛られず、生徒が自分のスタイルで、手軽に問題演習ができているようだ。
一方で、生徒への声かけやアプローチは、今までと変わらない。
「ノート点検の際に生徒をピックアップする作業は、リブリーに任せることで大幅に時間が削減されました。ですが、ノートをひとつひとつ見る方法が変わっただけで、そこから先の、生徒への接し方に関しては特に変わっていないかなと思います。」
効率化できる箇所はリブリーに任せることで、生まれた時間を生徒への指導に充てることができているのかもしれない。
リブリーで広がる授業のあり方
もし、教科書がリブリー化したらどうですか?とお伺いしてみた。
「教科書の問を解かせて、私のiPadで生徒のノートを撮影し、それを投影しながら生徒に解説させる、というのが今の授業スタイルです。」中谷教諭はこう続ける。
「もし教科書がリブリーに対応して、問を写真で提出できるようになれば、いちいち私が撮影する必要がなくなります。生徒全員の答えがリアルタイムで見られるので、きちんと解答できている生徒を指名して解説してもらえますし、逆にいい間違いがあれば、投影して共有することもできるようになりますね。この場の思いつきですけど、活用のアイデアが溢れます。」と語ってくれた。
スマホがあれば始められる
「リブリーは、スマホがあれば始められると思います。いきなり学年全体やクラス単位で始めなくても、担当する授業や、一部の科目からでも始めていけばよいのではないでしょうか。今でも、スマホで十分に活用させていただいています。」
まだPCやタブレットなどの端末が整備されていない学校でも、同校のように、まずはスマホからスモールスタートで導入できる手軽さもリブリーの良さである。