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ICTの活用とアクティブラーニング~マイクロディベートで論理的な思考力・表現力を培う~

福岡県立朝倉高等学校 清田 晋平 先生

学年 高校1年高校2年高校3年
教科 英語数学国語理科地歴公民保体家庭情報
科目 世界史A
単元 ヨーロッパ・アメリカの工業化と国民形成

 

 

はじめに

実践報告のねらい

本校は、福岡県教育委員会から、「新たな学びプロジェクト」の研究開発校指定を受けている。「ICTの活用と主体的・対話的な深い学びの創造」を目標に、日々の授業改善や先進的な取り組みをおこなっている。

そこで、世界史Aの授業でもICTの積極的な活用により従来の講義型授業から脱却し、アクティブラーニングを活用して、生徒の主体性を引き出すような取り組みをおこなった。

学校のICT整備状況

全教室に電子黒板型プロジェクター・実物投影機が完備されている。会議室には5台のプロジェクターやタブレット端末を設置し、それらが無線LANで接続されている。教師だけでなく、生徒の活用も視野に入れてICTを活用し、授業改善に取り組んでいる。

活用したICT機器・コンテンツ
  • 電子黒板型プロジェクタ
  • タブレット端末
  • PowerPoint用スライド
  • アクティブラーニング用ワークシート

 

授業について

単元計画

第3章 ヨーロッパ・アメリカの工業化と国民形成 時間数
⑧イギリスの繁栄 1時間
⑩イタリアとドイツの統一 1時間
⑪ロシアの近代化とバルカン半島 2時間
⑫アメリカ合衆国の膨張 1時間
イギリス・ドイツ・アメリカについてのアクティブラーニング(本報告)
 1時間目:個人での調べ学習・マイクロディベートの実施
 2時間目:グループでの議論・プレゼンテーションの準備
 3時間目:プレゼンテーションの準備・実施
3時間

※丸付き番号は、教科書(高等学校 改訂版世界史A 第一学習社)のタイトル番号。
 本実践報告(3時間分)は第3章のまとめの活動にあたる。
※「⑨二月革命と第二帝政」については授業展開上、順序を入れ替えて実施した。

 

授業のねらい

内容目標:欧米諸国(授業ではイギリス・ドイツ・アメリカを取り上げた)のうち最強の国を考えることで、欧米諸国の特色や共通点・相違点を説明できるようになる。

態度目標:複数の視点から他人を納得させることができるような、論理的な思考と表現ができるようになる。

授業の展開と実践内容

世界史Aでは、年度当初から講義型1時間+アクティブラーニング型1時間の構成で授業を進めてきた。定期考査についても、アクティブラーニング型の授業で取り上げた題材について論述式の出題をするなどした。

講義型の授業では、PowerPointと自作プリントを使用することで、内容の理解と授業進度の両方が確保できるようにしている。(図1)

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図1. 講義用スライドの例

今回の活動では、前時までの学習で扱ったイギリス・ドイツ・アメリカのうち、どの国が19世紀時点で最強であるかを多角的な視点で思考させた。ロシアやイタリアは、前時までの学習で近代化の遅れた要因について取り扱っているため、対象から除外した。

個々で必要な情報を判断したり、グループで議論していく中で選別したりして、生徒が論理的な結論を構成することができるように授業を組み立てた。

マイクロディベート

最初に3人1組のグループを作り、ランダムに3つの国を割り振り、その国が最強である根拠を教科書や資料集から収集させたり、タブレットを使用してインターネットで探させたりした。

その後、グループ内で討論をおこなう。ここでは、2人が1対1で討論し、もう1人がジャッジに回るというマイクロディベートという手法を用いた。(図2)

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図2. マイクロディベートの説明

マイクロディベートでおこなった内容から、共通の項目(例えば工業力や農奴制の有無など)をグループ内で比較、検討し(図3)、最終的にどの国が最強であるかを考えさせた。

そして、グループごとにプレゼンテーションをおこない、全体で意見を共有した。

授業の最後には、単元の内容目標・態度目標の自己評価と、全体のプレゼンテーションを聞いた上で個人の意見を論述させ、リフレクションをおこなった。(図4)

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図3. 各国の比較

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図4. 本活動の流れ

結果と反応

マイクロディベートは予想以上に盛り上がった。中には時間を忘れて話し続けたり、勝敗に悔しがる生徒もいたりして、楽しみながら学習している様子が見られた。

ディベートは勝ち負けがはっきりしており、即時にジャッジが下されるため、生徒たちは取り上げる情報や話し方などを工夫しており、内容的にも興味深いものになった。
ジャッジに回った生徒も、違う視点の2つの意見に対し、どう勝敗をつけるかを悩みつつも、新たな気づきを得たようだった。

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図5. 19世紀の各国の人口まで調べた班も

タブレットによる調べ学習やプレゼンテーションの準備については、生徒は前時までにも経験しているため使いこなしていた。
教科書や資料集に載っていないような情報は、インターネットを活用して収集し、有益かどうかを生徒自身が判断していた。

また、プレゼンテーションの資料をPowerPointで作らせることで、生徒それぞれの工夫を見ることができた。データは学校のネットワーク上に保存されるため、学校のLAN環境の下であれば、時間や場所を問わず作業ができる。そのため、プレゼンテーションの準備が時間内に終わらなくても、空き時間を見つけて学校や自宅で作業することができた。

 

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図6. 授業中の生徒の様子

 

本校では、前述の通り各教科でICTの活用とアクティブラーニングを実施している。
それに加えて、高い知性と豊かな人間性の育成・統合を目指す、朝倉I・Cプログラムという独自の取り組みも行っている。その活動の一つである、総合的な学習の時間などを活用した生徒による社会問題研究においても、世界史Aの授業の中で学んだプレゼンテーションやディスカッションのスキルが役に立っていたようである。

 

今後の課題

ICTを活用して、調べたり、プレゼンテーションをおこなったりするなど、生徒の主体性を引き出すことはできたと思う。

ただし、タブレットや電子黒板がすぐに使える会議室は常に使用できるわけではないため、どの教室でもできるように環境の整備が求められる。

また、今回は教師側から問いを提供したが、今後は生徒が自ら問題点や課題点を見つけて、議論し、解決策を見出していくような学習を展開できたらいいと思っている。