2020年度から実施される大学入学共通テストでは、英語民間試験の活用、国語と数学における記述式問題の導入が改革の二本柱でしたが、いずれも見送られることになりました。
では、センター試験と何が変わるのでしょうか。
問題形式や試験時間、配点に変更はあるのでしょうか。
ここでは、見直し後の新テストの概要や、センター試験との変更点についてまとめます。
記述式問題の見送りを受けて
文部科学省は令和2年1月29日、記述式問題の導入見送りに伴い、見直した実施大綱を公表しました。
また、大学入試センターは同日、問題作成方針の見直しを発表しました。
内容を見てみると、記述式に関する箇所が削除され、国語の試験時間が80分に短縮されています。
変更点を以下の表にまとめます。
表1.記述式問題見送りによる変更点
令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの出題方法等の変更について |大学入試センター
令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の見直しについて(通知)(PDF)|文部科学省
センター試験との比較
では結局センター試験との違いはどこにあるのでしょうか。
主な変更点を表にまとめました。
表2.センター試験と大学入学共通テストの比較
配点・試験時間が変わる
「国語」では記述式の小問3題からなる大問1問がなくなったため、見直し前の100分から20分短縮され、センター試験と同じ80分となります。
「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」では記述式問題は出題されませんが、見直し前の70分のままとなっています。(センター試験は60分)
英語では、以前発表されていた通り、センター試験の筆記:200点、リスニング:50点からリーディング:100点、リスニング:100点に配点が変わります。
出題傾向が変わる
記述式問題は出題されないものの、思考力・判断力・表現力を重視した問題が増えるとされています。
実際に施行調査では、複数の資料や文章を読み解く問題や、日常生活を題材とした問題も多く見られました。
※萩生田文科相は、令和2年1月21日の記者会見で、施行調査を改めて行う予定はないと述べています。
また、大学入試センターが公表した問題作成方針では、マーク式問題の新たな出題形式として、連動型の問題(連続する複数の問いにおいて、前問の答えとその後の問いの答えを組み合せて解答させ、正答となる組合せが複数ある形式)が出題される可能性あるとしています。
さらに「物理」「化学」「生物」「地学」で大問の選択問題は設定されないことも公表されています。
このように、出題方式に多少変更がある点にも注意が必要です。
ポイント
- 「国語」で実用的な文章が出題される可能性がある
- 「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」で試験時間が70分に増える
- 「英語」ではリスニングの比重が増え、1回読みと2回読みのもので構成される
- 全教科を通じて、思考力・判断力・表現力を重視した問題が増える