マルウェアは「マリシャス(malicious,悪意がある)」の前半と,「ソフトウェア」の後半をくっつけた造語である。意味は,悪意をもって作られそのように動作するソフトウェアの総称である。「コンピュータウィルス」と呼ばれることも多い。
初期のマルウェアはネットワークの普及以前で,多くの人がフロッピーディスク(小型の磁気メディア)でデータを保管したりやりとりしていたころに,自分のコピーをフロッピーディスクに書き込んで広まって行く形のものから始まった。今でも「コンピュータウィルス」は狭義にはこのような「何かにくっついて広まる」種類のマルウェアを指す。今ではフロッピーディスクはないが,ワープロソフトや表計算ソフトのファイルの中に自分を書き込んで伝わるなどの方法をとっている。
その後,多くのソフトウェアが流通するようになると,有用なソフトウェアのように見せかけ,ユーザが騙されてそれを起動すると悪さをするソフトウェアが広まった。これを「トロイの木馬」と呼ぶ。さらにネットワークが普及すると,ユーザに関係なく,ネットワークを伝わってOSなどの欠陥を攻撃し,広まっていく「ワーム」と呼ばれる種類も現れてきた。