日本最大の教育分野の展示会、EDIXの東京会場に行ってきました。
会場は東京ビッグサイト、文科省その他も後押ししている大規模イベントです。
今回は、入社1年目の筆者が会場の雰囲気を中心にレポートします!
会場の様子
国際展示場駅から、東京ビッグサイト西展示場へ。
道幅はとてつもなく広いです。道というよりはほぼ広場といった印象。
入場には、事前の登録が必要です。
webサイトから参加登録をすることで発行されるQRコードを印刷して持参する必要があります。一応、会場内にも印刷するスペースがありました。
EDIX、迷宮だった
会場はかなり広く出入口が複数個所あり方向感覚が狂います。気づけば「またこのブースだぁ...」なんてことがよくありました。
会場図はあるのですが、人の往来が激しくのんびり広げて歩くことができません。
少し歩いては脇に逸れて地図を広げるという、都会に来た田舎者のような挙動をしていました。
幸い、壁際は広めのスペースが空いており人の往来もほぼなく長距離移動には便利でした。壁沿いを歩くと現在位置を把握しやすくてよかったです。
個性的なブース
ブースにはちょっとした個性が所々に見られます。
壁面と床面などの配色がテーマカラーで統一されていたり、ブース内に商談スペースのようなものを設営したおしゃれオフィス風のブースもありました。
規模によっては大型ディスプレイが設置され、往来に向けて大音量でムービーを流すところもあります。
大混雑でゆっくり見ていられないような状況では、ぱっと見でどのような場所か大まかに把握できるのはこちらとしてはありがたいなと感じます。
ブースでのやり取り
今回は2日間のスケジュールで、幅広く情報収集する予定でした。
あまり見るつもりがなくとも「パンフレットだけでも...」と言われるとついつい受け取ってしまいます。
各社自慢の製品やサービスについて熱心に語る姿を見ると、こちらも聞き入ってしまいました。
お昼休みのEDIX
会場周辺の飲食店は当然ながら長蛇の列で、コンビニのレジ待ち列は出入口をふさぐ勢いで続いています。
慣れている人たちは何かしらを持参しているらしく、屋上階にあがると各々食事をしたりノートPCで作業したりしていました。
ブースで見かけた人が休憩している姿を見ると、「おつかれさまです...!!」という気持ちです。
日当たりのいい広い空間で人が散らばって食事をする様子が、(都心のイベント会場ではありますが)牧歌的で見ていて穏やかな気持ちになりました。
豪華なおみやげ
パンフレットと一緒に渡されるおみやげは想像していたよりも豪華な印象でした。
こんなものまで貰っていいのだろうかという思いもありますが、自社製品を売り込むにはまず立ち止まってもらわないと始まらないのだなと痛感する入社1年目の筆者でした。
おみやげは、ボールペンやクリアファイルならわかりますが、お菓子やコースター、さらにはタンブラーを配っているブースもありました。
あちらこちらでパンフレットを渡され荷物がかさばることを予見してか、トートバッグを配る企業も散見されました。
紙袋やビニール袋が一般的と思っていましたが...この調子だと5年後くらいのEDIXではリュックサックを配っているかもしれません。
出展内容について
ここからは、各ブースにて見聞きしたことを紹介します。
内容としては、LMSやeラーニング、ICTの話題が中心です。
課題のやり取りや成績などをデジタル管理するLMSが多くのブースで見られました。
また機械学習を教材制作や評価に取り入れる動きも目立っていました。
各ブース詳細
CHIeru
英語学習関係のサービスが特に目立っている印象でした。
スピーキング課題の評価をある程度音声認識でカバーしています。
合成音声で音声教材が生成できるシステムも提供しています。
テキストを入力すると、そのまま教材が生成されます。
英語関係以外では、スライド形式で次々に問題が表示されるフラッシュ型教材を押し出していました。
所要時間が短くて済み、学習者の予復習の補助として利用しやすそうです。
ジャパンナレッジ
新書や雑誌、辞典の電子版を配信するサブスクリプションサービスを提供しています。
特に辞書が充実しており、リファレンスとしての利便性も高いと感じます。
学校向けのジャパンナレッジschoolでは、学習地図図版を配信しています。図版の制作は平凡社地図出版さんが担当しているそうです。
地図の重ね合わせ機能が強みです。表示項目が豊富で、気候や土壌などの地理要素のほか生物や言語圏の分布などもカバーしていました。
この地図図版が教育的な気づきをもたらしてくれると嬉しい、と担当者の方に語っていただけました。
地図図版はブラウザ上で動作し、レスポンスがよくUIはシンプルで見やすいです。
Monoxer
教材の配信プラットフォームを提供しています。
テキストデータなどを取り込むことで、機械学習により問題形式で出力できます。
選択式や穴埋め、記述式など様々な出題形式を選択可能。画像を用いた出題もできます。
自前でデータを入力するほか、市販の教材もプラットフォーム上で購入することで利用可能になります。
「記憶が定着する教材」をコンセプトにしており、難易度調整や学習計画の提案を自動でやってくれるそうです。
ソフトウェアサイエンス
自動採点システムを提供しています。
答案用紙をスキャンすれば問題ごとに回答が切り出され画面上で採点ができるシステムです。
あらかじめテスト問題のマスターデータにて、問題ごとの切り出し設定が必要です。
採点後の成績の集計や管理も同一プラットフォーム上で行うことができます。
機械学習を用いた試みとして、一次採点としての利用や、機械と人力の併用により誤採点を減らすことなどが挙がっていました。
ELECOM
タブレット用のタッチペンとキーボードを紹介していました。
タッチペンは、ドライバや接続設定が必要なくOSに依存しないそう。
注目すべきはレスポンスの良さで、ほぼ遅延がなく紙に書いているのと変わらない感覚で使用できました。
また、画面に手が触れていても問題なく書けることも魅力的ですね。
キーボードはプログラミング初学者向けにデザインされたものです。
刻印はかな入力に代わってアルファベットの大文字と小文字になっています。
キーが色分けされており、ブラインドタッチのガイドとして一役買っていました。
Caps LockとCtrlが、裏面の物理キーで切り替え可能な点も特徴的です。
特別講演
EDIXでは有識者による講演が開催されています。
参加にはEDIX会場への入場登録とは別に、講演ごとの個別の参加登録が必要です。
講演内容によってはかなり早い段階で満席になるため早めの登録をおすすめします。
GIGAスクール構想に関する講演
講演者は初等中等教育局 学校デジタル化プロジェクト チームリーダー 武藤 久慶 氏。
グローバル化と少子高齢化を根拠として、理数系や情報系科目の能力の底上げや主体性を身に着けることの重要性を呼び掛けていました。
具体的な策としてICT技術を活用している学校の実践例を取り上げていました。
モデル校においては、情報発信の選択肢が増えて活発な活動につながったほか、教員が机間指導に割ける時間が増えるなどの効果が見られたそうです。
chatGPTと教育に関する講演
講演者は早稲田大学 理工学術院 教授 大学ICT推進協議会 会長 深澤 良彰氏。
chatGPTの基本的な仕組みと歴史についての解説があり、知識ほぼゼロの筆者にも聞きやすい講演でした。
教育への利用においては、やはり慎重な声が多いとのこと。
利用に制限を設けるほか、電子透かしを導入するなどの対策が検討されているそうです。
活用したい人は多数いるものの倫理的な問題がネックになっているという話もありました。
おわりに
今回の記事は、教育出版業界一年目の筆者が大規模イベントで見聞きしたことを率直に書きました。
教育業界の明るい未来に寄与できるよう、これからも精進していきたいと思います。