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学校だけ紙にこだわる必要はない。1人1台の端末をLibryで活用 (海城中学高等学校)

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海城中学高等学校

海城中学高等学校は、1891年に海軍予備校として創立された伝統のある、中高一貫校である。 「国家社会に有為な人材を育成する」という建学の精神を、時代の変化とともに多様に解釈し、 情報化・グローバル化が進んだ現代社会においては、「新しい人間力」と「新しい学力」の資質を備えた人材を育成している。今回は、ICT 教育部の平田敬史たかし教諭(担当教科は化学)にお話を伺った。

 

 

リブリー導入の背景

「生徒の荷物を減らしたい」という思いで、同校では2019年から数学でリブリーの導入をはじめたが、理科ではまだだった。
理科では、「セミナーシリーズ」を長年使っており、平田教諭は高校1年生を受け持つタイミングで、今まで通り冊子で買うか、リブリーを導入するかを迷っていたが、「せっかく端末を持たせるので、もはや冊子ではないだろう」と考え、リブリーの導入を決めた。

紙の書籍も持っていたいという生徒の声もあり、現在は希望者のみ紙の書籍を購入しているが、全体の1割程度だどいう。

同校では、中学生がMacBook Airを、高校生はiPadを1人1台所有している。生徒が端末を持つことで、従来ではできなかったような、創造的な活動ができるようになってきた。
リブリーはブラウザ版でも使用できるため、今後PCでの使用となっても、特に問題はなさそうだ。

 

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ICT教育部・化学科 平田敬史教諭

 

はじめに生徒のアカウントが用意され、そこに購入した書籍が加わっていくのがリブリーの導入方法である。同校のように、他の科目で既に使っていれば、その後の書籍追加がスムーズに行えるのも嬉しいポイントの1つだ。

リブリーで学習を進める生徒の反応

端末の使用に関しては、先生が許可した時のみ使っていいというルールはあるが、実際には多くの教員が広く許可しているため、生徒は必要に応じて自由に端末を活用している状況だ。最近ではiPadを通して教材を配信する先生も増え、iPadが学習の基盤となりつつあるという。

では、リブリーを使った生徒の反応はどうだったのだろうか。
「生徒からは、『荷物が減った』『問題を解いている時にすぐ解答が見られる』といった声が上がっています。今までは問題と解答の冊子が別々だったので、わざわざ解答の箇所を探しにいかなくてはなりませんでしたが、タップ1つですぐに解答が見られるところが便利なようです。」

iPadの画面でも閲覧性に問題はなく、中には朝の始業前にリブリーを使って勉強をしている生徒もいるなど、リブリー版の利便性を感じ始めているようだ。

学習への取り組みが可視化された

平田教諭は、定期考査ごとに問題集を解いたノートの提出をさせている。
「リブリーだと、生徒が課題をやっているかどうかが一覧で分かるので、ノート点検の作業が効率的になりました。 わざわざ紙のノートを1冊ずつ開いて、中をチェックするという手間がなくなったので、とても便利です。」と平田教諭は語る。

また、生徒の学習ペースが分かるようになったのも、先生にとってはありがたかったという。

「今までは、期限までにやったかどうかという結果しか分からず、生徒がどれぐらいのペースで課題をやっていたかは全く把握できていませんでした。リブリーを使い始めてからは、途中経過やペースが可視化されるため、この生徒は取り組みが速いな、ということが分かるようになってきました。」

 

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Libry for Teacherを使って、生徒の進捗状況を確認

 

紙でのノート点検がリブリーに置き換わったことで、業務の効率化が進んだだけでなく、今までは見えなかった生徒の学習スタイルが見えてきたようだ。
生徒にとっても、あとから間違えた問題だけやろうとした時に、すぐに見つけられるなど、自分の学習履歴が可視化されることが役に立っている。

生徒はデジタルでの学習に慣れている

最後に、リブリーの導入を考えている先生方へ向けて、メリットを語っていただいた。
「とにかく、荷物が減ることが大きいと思います。端末もある程度の重量がありますので、荷物を減らしてあげないと、生徒は毎日の通学が大変です。 端末の導入と、荷物の削減は同時並行で考える必要があると思います。」端末の中に問題集が入っているから、その分だけ紙の荷物は減らしていこうという方針だ。
さらに、今の高校生はiPadで教材を見ることにあまり違和感はないのでは、と平田教諭はつづける。
「今や新聞を見たり、読書をしたりするにも、スマホやiPadでする人が多くなりました。生徒はiPadでページ全体を表示しておいて、必要なところだけズームするなど、操作には慣れています。社会全体で端末の活用が普及している中、学校だけが紙にこだわる必要はないんではないでしょうか。」

 

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